つくばサイエンスカフェ・スキエンティア2020にて、一般の方を対象に宝石の魅力と不思議についてお話させていただきました。
当日の講演では3Dのステレオプロジェクターを使い、両目に見える像が異なることによってファセットカットされた宝石が輝いて見える様子をご覧頂くこともできました。また、当日の資料では動画で宝石がわずかに動くことで輝き方が変わる様子もご覧いただいたのですが、これらは再現できず、資料のみでご覧いただくことをご了承ください。
~ 主な内容~
我々を魅了する宝石の美しさは科学によって成り立っています。ダイアモンドのきらめきはただの光の反射だけではありません。 左右の目に映る光と影の像が異なることで、 脳はその場所がチカチカ光っているように錯覚し、ただの光の反射以上に光って見えています。また、クロムで緑に発色したトルマリンは、
鉄で緑に発色したトルマリンより鮮やかに見えます。さらにクロムで色が着いたアレキサンドライトは色が変る特徴もあります。それらも宝石の魅力となっています。
このように美しい宝石ですから、人は模造品も作ってしまいます。宝石の鑑別は、ぱっと見同じように見えるものでも、科学的な特徴から分かりやすい違いとして見ることです。しかし、宝石は貴重なものであるため、少し削って検査するなど破壊検査が出来ません。そのため、光学的な特徴や顕微鏡でみられる内部特徴(インクルージョン)などを頼りに検査を行っていきます。
今回の講演では宝石の魅力を科学の観点からお話しすると共に、宝石鑑別をワークショップとして行って頂く中で宝石を実際に手にとって見て頂くことを考えております。
主なお話
・ダイアモンドが美しいわけ ~高い屈折率が無色の石の美しさ~
・ルビーが美しいわけ ~不純物として結晶に含まれるクロムの作用~
・色が変るアレキサンドライト ~光源の違いで色が変る理由~
・石の中に青空があるムーンストーン ~光彩効果を持つ宝石~
・ダイアモンドの輝きは錯覚 ~宝石が輝くメカニズム~
・宝石のインクルージョン ~天然の宝石に含まれる別の宝石~
・偏光検査 ~携帯の液晶でわかる水晶とガラス~
・硬度検査 ~固いパライバ・トルマリンと柔らかいアパタイト~