56)Adamite アダマイト:ギリシャ産 0.218ct 緑青色透明石
和名はアダム石、または水砒亜鉛鉱、 化学組成:Zn2(AsO4)(OH)、斜方晶系に属する。産状:腎臓状、球状集合、時には板状?短柱状結晶??? 色相:無色、淡緑色、帯青緑色、緑色(Cu)、ピンク色?紫色(Co)で透明ないし半透明石??? 光沢:ガラス光沢、 モース硬度:3.5、 劈開:{101}に明瞭、 比重:4.32?4.48??? 屈折率:α=1.722、β=1.742、γ=1.763、 複屈折量:+0.041、 多色性:二色性強??? 蛍光性:長波にて緑色蛍光、短波にて緑色又は黄色蛍光?? 産地:メキシコ、ナミビア、ギリシャ、フランス、チリ、イタリア、ドイツ・・・等
広い範囲を示す成分比によって、光学的特性は大きく変化する。Paradamite石とは同質異像である。ほとんどが集合構造で単結晶の美しい透明石は大変に稀少であり、硬度も低いのでコレクター対称の石である。名称は最初に発見したフランスの鉱物学者G.J.Adam氏(1795?1881)に因んで命名された。
57)Cancrinite カンクリナイト:カナダ産 0.217ct 鮮黄色透明石
和名はカンクリナイト又は灰かすみ石??? 化学組成:Na6Ca2Al6Si6O24(CO3)2、 六方晶系に属する。? 産状:通常塊状、稀に柱状結晶、? 色相:無色、白色、黄色、オレンジ色、淡青色・・・等、? 透明?不透明石、? ?光沢:ガラス光沢、劈開面は真珠光沢、 モース硬度:5?6??? 劈開:{1011}に完全、 比重:2.42?2.51、 屈折率:ω=1.507?1.528、ε=1.495?1.503、 複屈折量:?0.022、 多色性:二色性微弱、 蛍光性:長波・短波共に変化なし、 産地:カナダ、アメリカ、ノルウェー、ウガンダ、ケニア・・・等
透明のファセット・カット石はごくごく稀少で、カナダ産は黄色ないし、オレンジ色で魅力的なカボションになる。SO4分がCO3分より多くなれば、変種のビジネバイト(Vishnevite)になり、特性値はカンクリナイトと同じである。又Na、Ca、Kが置換して、15種類以上の鉱物がある。名称はフランスの駐ソ大使のロシアの貴族Cancrin伯の名に因んで命名された。
58)Eudialyte ユーディアライト:カナダ ケベック産 0.377ct 赤色透明石
和名はユーディアライト? ?化学組成:Na15Ca17Fe3Zr3Si(Si3O9)2(Si9O27)2(OH)2Cl2??? 三方晶系に属する、 産状:六角ないし三角形の板状?柱状結晶,
色:ピンク色、褐色、褐赤色、青色で半透明石? 光沢:ガラス光沢?脂肪光沢 モース硬度:5?5.5、 劈開:なし、 比重:2.74?2.98?? 屈折率:ω=1.591?1.623、ε=1.594?1.633(屈折率:ω=1.655?1.658、ε=1.633?1.636の報告もある)、 産地:アメリカ、カナダ、ノルウェー、アイルランド、ロシア・・・等
カナダのケベックからは良質の美しいルビー赤色の産出があり、名称は酸に良く溶ける事を意味するギリシャ語に由来している。
?
59)Parisite パリサイト:コロンビア産 0.587ct 黄褐色透明石
和名はパリス石又はパリサイト、化学組成:Ca(Ce,La)2(CO3)3Fe、セリウムその他希土類元素を含んだ弗化物炭酸塩、三方晶系に属する。 産状:微小錐状、柱状結晶、 色相:無色?黄色、褐黄色、透明?半透明石? 光沢:ガラス光沢?脂肪光沢、 モース硬度:4.5、 劈開:{0001}に明瞭、 比重:4.36?4.32
屈折率:ω=1.676、ε=1.757、 複屈折量:+0.081 産地:コロンビア(ムゾー鉱山)、イタリア、グリーンランド、ノルウェー・・・他
コロンビアのBogota北方Muzoのエメラルド鉱床中に、黄鉄鉱、アルバイト、カルサイト・・・等を伴う。名称は、Muzo鉱山経営者J.J.Parisに因み命名された。化学組成、結晶構造は共にバストネス石(Bastnäsite)と関連。
?
60)Vanadinite バナディナイト:モロッコ産 0.233ct 橙赤色透明石
和名は褐鉛鉱、化学組成:Pb5(VO4)3Cl、リン灰石族の緑鉛鉱系列に属する鉱物、六方晶系に属する。 産状:六方柱状結晶、卓状結晶で、稜は鋭く、面は滑らかだが曲面をなす物もある。? 色相:赤色、オレンジ色、赤橙色、稀に無色・・・等 半透明?不透明石、?? 光沢:樹脂光沢ないし亜ダイアモンド光沢、 モース硬度:2.5?3?? 劈開:なし、比重:6.5?7.1(通常6.88)、 屈折率:ω=2.416、ε=2.350、 複屈折量:?0.066、 多色性:二色性弱、 蛍光性:長波・短波共に変化なし 産地:アメリカ、メキシコ、アルジェリア、モロッコ、イタリア、イギリス・・・等
ファセット・カットはごく稀であり、良質石はアリゾナ産が主で小さく、モロッコ産はそれに次ぎサイズも大きい。硝酸や塩酸に溶けやすく、主に鉛鉱床の酸化帯の二次鉱物として産出する。20種類ほどあるアパタイト・グループに属する。日本名は鉱物の色と主成分の鉛より、英語名は主成分のバナジウム(V)から命名された。