弊社の年賀状でお送りさせて頂きました、
写真についてお問い合わせを頂きましたので、
ご説明をさせていただきたいと思います。
詳細は下記をご覧ください。
それでは改めて本年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年の6月にロシアを訪問する機会を得て、
ダイアモンドの鉱山やウラル地方の様々な宝石の鉱山を訪問することが出来ました。
ダイアモンドの鉱山はアルハンゲリスク近郊のLomanosov鉱山に参りました。
こちらの鉱山は5つある採掘される予定のパイプのうちまだ1つしか
まともに産出が始まっていないという新しい新しい鉱山です。
左側に写っているのはこのロシア訪問にご招待して下さった
モスクワ大学のユーリ教授です。
ダイアモンドの鉱山を訪れたのはこれが初めてだったのですが、
その鉱山の大きさには改めて驚かされました。
また採掘に使われている重機の大きさも驚愕でした。
(これでもメンテナンス中でさらにこの上に荷台が載ります)
さらにその選別プラントも非常に大きなものででしたが、
その工程は全く人の手が触れることのないもので、
セキュリティにも配慮されたものでした。
これらの工程を経て、得られた原石が下の写真のものです。
この鉱山からはこのような大きな品質の良いダイアモンドだけでなく、
カラーダイアも産出しており、今後開発が進んでいく中で、
さらなる産出に期待が持たれます。
またロシアではウラル地方でもエメラルド、アレキサンドライトやルビー、サファイア、
トルマリン、アメシストなどの鉱山を訪問できました。特に印象深かったのが、
デマントイド・ガーネットの鉱山です。
こちらの鉱山は主立った2つの鉱山のうちの一つですが、近年の産出は
メレー石がほとんどで日本の市場でロシア産の良質なデマントイドが
見られなくなった現状が理解されました。
昨年にかけていくつかの宝石の鉱山が発見され、話題になりました。
一つはスリランカのKataragama鉱山です。こちらは道路工事の際に
崩れた土砂の中からクリアで良質なブルーサファイアが見つかりました。
しかし、鉱区は極めて狭い範囲で、産出も限られたものになりそうです。
もうひとつは、マダガスカルのDidyとBemaintyです。
こちらからはルビー~ブルーサファイアまでいろいろな色の
コランダムが産出しまいました。インクルージョンとしては東アフリカに
よく見られる(顕微鏡ではキラキラ輝く)プレート状の結晶や、
成長構造に沿って配置した微小インクルージョンがよく見られます。
本格的な産出はこれからのようです。
また新しい宝石がなかなかない中、これまであった宝石の中に特徴的な
ものを探し出し、新しい魅力を再発見される宝石も多かったです。
その一つが、Merelani Mintと呼ばれるグロッシュラーガーネットです。
タンザナイトで有名なMelerani丘陵から産出し、そのクリアな緑色が特徴です。
下はその中に見られる成長線と原石表面の特徴的な六角形の晶癖です。
また、海外の方のクリスマスカードにも使ったのですが、エメラルドの中にとても
クリスマスらしいハート型のインクルージョンが見られました。
それはコロンビア産のエメラルドの特徴的な三相インクルージョンなのですが、
気相のインクルージョンが固相のNaClと接して形がハートになったようです。
宝石にもハートがあるんですね。
昨年は弊社内にもいろいろな進展がありました。
一つは社員の退社を機に2名の新入社員を迎えることが出来ました。
二人ともとても優秀な人材でこれからが楽しみです。
なにぶん小さな研究所のため、納期等でお客様にご迷惑を
かけることが常なのですが、少しでも改善できればと願っております。
もう一つは、設備の方で一昨年より取り組んできた蛍光分光装置
(フォトルミネッセンス)がだいぶ現実的になってきました。
ダイアモンドの合成、処理の分析に使う装置ですが、
ダイアモンドの蛍光反応は見ていてとても美しいです。
ダイアモンドのもう一つの美しさだと思っています。
下はその実験中のダイアモンドの蛍光像の写真です。
改めまして、本年も社員一同、全力で取り組む覚悟でおります。
どうぞ一層のお引き立ての程、よろしくお願い申し上げます。
平成25年元旦 日独宝石研究所 所員一同