この度、Gem Information 第 49 号発⾏の運びとなりました。今号ではエチオピアのパープル・カルセドニー、ツーソンの新しい宝石鉱物博物館、青からオレンジに変わるテネブレッセント・ジルコン、タンザニアのマヘンゲのコバルト・スピネル、パライバ・トルマリンの加熱、マダガスカルのデマントイド・ガーネット、宝石を見るためのLEDなどをご紹介しております。宝石の特徴と魅力を分かりやすく皆様と共有していけるよう、これからも情報発信に努めて参ります。
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エチオピアのパープル・カルセドニーとツーソンの新しい宝石鉱物博物館
2022年のツーソンの展示会は、まだコロナ禍の影響もあり、新しい宝石は少なかったのですが、エチオピアからは新しいパープル・カルセドニーが報告されました。その鮮やかな紫色はアメシストと同じFe4+による紫色とブルーカルセドニーと同じレイリー散乱による青色が合わさったものでした。
また、ツーソンに新しい宝石鉱物の博物館がオープンしました。コレクションも素晴らしいですが、その展示もとても先進的で面白いです。ぜひご訪問ください。
紫外線で色が変わるテネブレッセント・ジルコン
ブルー・ジルコンの紫外線蛍光の検査を行う中で、紫外線で青からオレンジブラウンに変わるジルコンに出会いました。以前にもご紹介した褐色からオレンジに変わるテネズレッセント・ジルコンは、エネルギー障壁が失われる変化でしたが、こちらはエネルギー障壁が生じることによって起こる変化でした。
タンザニア・マヘンゲのコバルト・スピネル
ベトナムのものが人気のコバルト・スピネルですが、同じような色合いの石がタンザニア、マヘンゲから報告されました。色はベトナムのものの中間タイプという感じなのですが、そのインクルージョンは非常に独特で、たくさんの双晶面が幾何学的な模様を作り出しています。さらにそれらはイリデッセンスによる七色の模様が現れます。スピネルもきれいでしたが、インクルージョンもきれいな写真が撮れました。
パライバ・トルマリンの加熱と非加熱
宝石の色見本にはこれまで実用的なレベルで使えるものはありませんでした。しかし、2019年に発表されたCol近年非加熱を謳う、パライバ・トルマリンが市場でよく見られます。そこで、トルマリンの加熱実験を行い、その変化を確認しました。また、同じく近年、パライバ・トルマリンにも含浸されたものが見られるようになってきており、含浸の意味について考えました。他にも非加熱のパライバのような“ロイヤル・インディコライト”として販売されているナイジェリア産のトルマリンの魅力を分析してみました。
ルマダガスカル産デマントイド・ガーネットの産出の再開とツイン・ファイア
パキスタン産のペリドットの中には黒い針状のインクルージョンであるルードヴィッヒアイトが見られることがありマダガスカルのデマントイドの鉱山が、新しい会社によって再開されました。以前の無計画な乱獲とは違い、しっかりと計画された合理的な採掘が行われています。またその採掘はSDGsに則った形で進められています。さらにこのデマントイドにはイリデッセンスを伴う双晶面が見られました。デマントイド自体のファイアが、双晶面からのイリデッセンスと相まって、一段と七色が強く見えます。
LEDと宝石 ~その選び方と注意点~
ここ10年は照明がLEDに変わる転換期でした。宝石で照明が重要なのは言うまでもありませんが、LEDには宝石にとって良い面と悪い面があります。LEDは今も日々進歩していて、理想的な光源である太陽光により近いものも出てきています。宝石やジュエリーのため、どのようなLEDを選んだら良いか、LEDの特徴と注意点をまとめております。