謹んで新年のご祝詞を申し上げます。 輝かしい年頭にあたり 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。 昨年中は格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。 御社のますますのご発展を祈念しますとともに、 本年もなお一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。 平成28年 元旦 日独宝石研究所 所員一同 年賀状に用いました写真のご説明をさせていただきます。 エチオピア産のブラックオパールです。これまでは処理のものしか知られておりませんでしたが、天然のものが後から、見つかりました。これまでのイエロー、ホワイトのエチオピア産オパールのように、遊色効果が強く、また地色が真っ黒なのが特徴です。 昨年は宝石でいくつか、よい報告が聞かれました。2014年10月頃にブラジル、パレリアスのパライバトルマリンが再度鉱脈に当たり、産出が再開されました。昨年はカット石も見られ、中にはバタリアのように色の強い美しいものが見られました。 印刷だとなかなかパライバ・トルマリンのネオン感のある美しさが表現できず、難しいです。発光するディスプレイだと現物に近いです。 去年はスリランカにてサファイアの加熱について、講演を行いました。そこで鉱山主さんと知り合うことが出来、サファイアの鉱山を訪問し、採掘を見せて頂きました。場所はRatnapura近くのPalmadullaです。 ミャンマー産ブルーサファイアに見られた美しいシルク・インクルージョンです。シルク・インクルージョンは、横からの強い光を当てないと見られず、石の外観を邪魔しません。そして強い光が当てられたときだけ、このように現れる控えめな美しさを持っています。この写真はGem Information 43号でも表紙に使わせて頂きました。今年も美しいブルーサファイアに出逢えることを祈っております。 こちらはパキスタンのデマントイド・ガーネットに見られたホーステール・インクルージョンです。去年はカット石や原石もいろいろ見ることが出来ました。クロスニコル下で見られる干渉像も特徴です。 中国でHPHT法で作られたメレーサイズの合成ダイアモンドの原石です。黄色の部分が種結晶ですが、成長した結晶がまさにラウンドブリリアントカットを横にしたような形で、その歩留まりが良さそうな形からも宝石用途に特化した製造であることが伺われます。今年も鑑別は大変になりそうです。 ロシア産デマントイド・ガーネットに見られた、加熱されて破裂したインクルージョンです。加熱については今年、調べていきたいと思います。 インド製のCVD合成ダイアモンドです。ダイアモンドの形と言えば、ラウンドブリリアントカットや、ピラミッドを二つ合わせたような正八面体を思い浮かべますが、全く違う形状でイメージが変わってしまいます。 ミャンマー(ビルマ)Mong Hsu産のルビーに見られた糖蜜状組織です。下の方の青い色もMong Hsuの特徴です。 昨年8月にリトアニア、VilniusでIGC国際宝石学会議が行われました。私はパラサイト・ペリドットの産地について発表を行いました。 今年も皆様にとって良い年となりますよう、日が昇る富士山と一緒に祈念しております。 改めて、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 2016年元旦 日独宝石研究所 所長 古屋正貴 社員一同